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2025.07.29

  • コラム

JSTQB認定テスト技術者資格とは?ソフトウェアテスト資格の概要・レベル・取得メリットを徹底解説【2025年最新版】

  1. はじめに
  2. JSTQB認定テスト技術者資格の概要
  3. 試験対策の方法
  4. JSTQB資格の取得メリット
  5. JSTQBとゲームデバッグの関係
  6. JSTQBの将来性と企業での導入動向
  7. まとめ
  8. よくあるご質問

はじめに

ソフトウェア開発やゲーム制作において、品質保証はリリース成功の鍵を握る重要な工程です。特にバグのない製品を提供するには、テスト工程を専門的に担う知識とスキルが求められます。そうした中で、日本国内外で信頼される資格の一つが「JSTQB認定テスト技術者資格」です。 

この資格は、ソフトウェアテストに関する高度な知識と実践的な技術を備えた人材を育成し、認定することを目的としています。JSTQBの認定資格は、国際標準に基づき設計されており、日本を含むグローバルな基準に対応しています。そのため、この資格を取得することは、個人のスキルと知識の証明となり、キャリアアップや新しいビジネスチャンスをつかむ大きな一歩となります。 

本記事では、JSTQB認定テスト技術者資格の概要から資格を取得するまでの流れ、試験の準備方法、資格取得のメリットまで詳しく解説します。
資格取得を目指す方や、さらに専門性を高めたい方にとって、必要な情報を包括的に提供することで、ソフトウェアテストの領域において成功をつかむ一助となることを願います。

 

JSTQB認定テスト技術者資格の概要

資格の概要

JSTQB認定テスト技術者資格(JSTQB Certified Tester)は、ソフトウェアテストに関する知識・技能を証明する国際資格制度「ISTQB」の日本版です。 

この資格は、テスト技術者としての知識・スキルを体系的に学び、客観的に証明できることが最大の特徴です。世界70か国以上で導入されており、認定試験に合格することで、グローバルに通用するスキル証明となります。
JSTQBは、初学者から上級者まで幅広い層に対応したカリキュラム構成が特徴です。特に、IT業界・ゲーム業界・システム開発企業などでは、JSTQB資格を保有していることが、品質保証(QA)部門やゲーム業界のデバッガー職で信頼性やスキル証明として評価される場面が増えています。 

 

JSTQBのレベル体系と試験内容

STQB認定資格は、2段階のレベル構成に分かれており、自身の経験や役割に応じてステップアップできます。

 

Foundation Level(FL):初級レベル

Foundation Levelはソフトウェアテストの基礎を体系的に学ぶ入門資格です。
テスト未経験者や、これからQAエンジニアとしてキャリアを築きたい人に最適です。ソフトウェアテストの基礎知識(テストプロセス、テスト設計技法、静的テスト、テスト管理など)が問われます。 

主な内容: 

  • ソフトウェアテストの基本概念(なぜテストが必要か) 
  • テストプロセス(計画、設計、実行、評価) 
  • テストレベル(単体、結合、システム、受け入れ) 
  • 欠陥とバグ管理(不具合のライフサイクル) 
  • テスト設計技法(ブラックボックス、ホワイトボックスなど) 
  • テストツールの基礎知識 

 

試験概要: 

  • 問題数:40問/選択式 
  • 合格基準:65%以上の正答 
  • 試験時間:約60分 
  • 試験方式:CBT(テストセンターでPC受験) 

 

Advanced Level(AL):中級レベル

Advanced LevelはFoundation Levelの上位資格で応用的・専門的なスキル認定資格です。
テストアナリスト、テストマネージャー、テクニカルテストアナリストの3つの専門分野に分かれており、設計技法の応用、プロジェクトマネジメント、リスクベースドテストなどの実践的スキルを問われます。

 

試験対策の方法

JCTQB認定テスト技術者資格を取得するためには、しっかりとした試験対策が必要です。
ここでは、効果的な試験準備のための具体的な方法をご紹介します。 

 

公式ガイドラインの活用

JCTQBの公式ガイドラインは、試験対策において最も基本的で重要な資料です。このガイドラインには、試験の出題範囲や重要ポイントが詳細に記載されています。
試験の内容を理解し、的確に学習を進めるためには、このガイドラインの熟読が不可欠です。 

 

模擬試験での訓練

模擬試験を繰り返し受験することで、試験形式や時間配分に慣れることができます。
模擬試験は、オンラインプラットフォームや資格対策講座で提供されています。実際の試験に近い環境での練習は、試験当日のパフォーマンスを向上させるために非常に有効です。

 

勉強会やオンライン講座の利用

同じ目標を持つ受験者同士での勉強会を通じて、相互学習を行うことも有効です。また、オンラインで提供されている試験対策コースを利用することもできます。これらのリソースを活用することで、最新の情報やトレンドをキャッチアップしながら効率的に学習を進めることが可能です。 

時間をかけて準備を整え、効率的な学習方法を取り入れることで、資格試験の合格を目指しましょう。 

 

JSTQB資格の取得メリット

JSTQBを取得することで、以下のようなメリットがあります。

 

客観的なスキル証明になる

JCTQB認定資格は、ソフトウェアテストに関する知識とスキルを公的に認証するものです。
資格保持者は、ソフトウェア品質管理の専門知識を有していることを証明できるため、プロジェクトを任される機会が増えたり、キャリアアップの可能性が広がることも少なくありません。 

 

プロジェクトの品質向上に寄与

JSTQBではテスト設計の原則や体系的なアプローチを学ぶことができるため、属人的な検証作業から脱却し、再現性・網羅性のあるテストが可能になります。
その結果、リリース後の不具合リスクを減らし、製品全体の完成度を高めることができます。 

 

チーム全体のスキル底上げに役立つ

JSTQBは、テスト工程における共通言語として機能するため、チーム内での認識のズレが減少し、レビュー効率やテストカバレッジの向上が期待できます。教育や研修の一環として導入する企業も増えています。

 

ゲーム業界での活用

スマートフォン、PC、コンシューマー機など、多様な端末に対応するゲーム開発では、論理的かつ効率的なテスト設計が欠かせないため、多端末検証やUIの一貫性確認、パフォーマンステストといった場面でも、JSTQBで学んだことを活かし、活躍することが可能です。 

 

JSTQBとゲームデバッグの関係

JSTQBはゲームデバッグにも活用できる?現場での具体的な使い方とは

JSTQBは「業務系システム向け」と誤解されがちですが、実はゲームデバッグにも非常に有効です。 

たとえば、多端末テストやUI検証、進行不能バグのチェックなど、ゲーム開発におけるテストは複雑かつ多岐にわたります。JSTQBで学ぶ「テスト設計技法」や「欠陥管理」、「リスク分析」といった知識は、より効率的で効果的なデバッグプロセスを支える基盤となります。 

また、近年では品質保証部門がJSTQB取得を推奨・必須とするケースも増えています。特にスマホゲームでは頻繁なアップデートが発生するため、テスト戦略を組み立てる能力が求められ、JSTQB資格が有用視されています。

活用シーンJSTQB知識の活用例
多端末テストリスクベースドテストによる優先順位設計
探索的テストテスト技法や振る舞いベースのアプローチで漏れ防止
バグ報告・管理欠陥管理プロセスの標準化・トレーサビリティ確保
テスト設計効率的なテストケース設計による抜け漏れ防止
チーム連携用語や手順の共通理解を促進、育成、教育

 

JSTQBの将来性と企業での導入動向

JSTQB認定テスト技術者資格は、IT業界全体において年々その存在感を高めています。
特に、品質保証(QA)業務の標準化やテスト人材のスキル証明が重視される昨今、多くの企業がJSTQBを導入・推奨しています。

 

品質保証人材の育成に最適な「共通言語」

ソフトウェア開発において「品質」の重要性が高まる中、テスト工程の標準化と属人性の排除が強く求められるようになりました。JSTQBは、国際的なガイドラインに準拠した体系的な知識体系と共通用語の整備を提供するため、異なる部署・チーム間で共通認識を持つための「共通言語」として有用です。 

このため、企業の新人研修や中堅社員のスキルアップ研修に、JSTQBのFoundation Levelを採用する企業が増加しています。現場で求められる「即戦力」の基礎を体系的に身につけさせることが可能となります。 

 

ゲーム業界・Web業界など非SI系企業にも広がる導入

かつてはSIerやソフトウェア開発会社が中心だったJSTQB資格ですが、最近ではゲーム業界、Web業界、スマホアプリ開発企業など多様な業界にも導入が拡大しています。 

特にゲーム業界においては、多端末テストや複雑なUI/UX検証、パフォーマンステストなど高度な品質保証が求められます。そうした中で、テスターやデバッガーにJSTQB取得を推奨する企業も増えており、テスト専門会社がJSTQB保持者を採用基準にしている例もあります。 

また、Webアプリ開発現場でも、継続的デリバリーやアジャイル開発における品質保証の効率化・自動化が進み、JSTQBの設計技法やツール活用知識が重宝されるようになっています。 

 

ソフトウェアテストの自動化・AI化との親和性

昨今の開発現場では、Selenium、Appium、TestRail等を用いたテスト自動化やAIテスト支援の導入が進んでいます。そのような技術革新の波の中でも、JSTQB資格は高い有効性を保っています。 

  • テスト自動化における「何をテストすべきか」という判断には、JSTQBで学ぶリスクベースドテストやテスト設計技法が不可欠です。 
  • AIによる探索的テストやログ分析など新技術に対応するためにも、基礎となるテストプロセス理解が重要です。 
     

つまり、JSTQBは「ツールや技術に依存しない普遍的な理論と実践力」を提供しており、将来の変化にも適応しやすいスキルといえます。 

 

まとめ

JCTQB認定テスト技術者資格は、ソフトウェアテストの専門知識と技術を持つプロフェッショナルを認証するための重要な資格です。この資格を取得することで、個人のスキルとキャリアの向上が期待でき、また雇用市場での競争力を高めることができます。 

資格取得においては、公式ガイドラインの活用や模擬試験での訓練、勉強会・オンラインコースの活用などを通じて、しっかりとした試験対策を行うことが重要です。また、資格を取得した後も、継続的な更新を行うことで、その価値を維持し、業界での地位を確固たるものにすることが可能です。 

この一連のプロセスを通じて得られる豊富な知識とスキルは、ソフトウェアテストに関する専門的な役割を担う上で役に立つでしょう。資格の取得と継続的な更新を計画的に行い、長期的なキャリアを築いていくことをお勧めします。 

 

よくあるご質問

JSTQBとは何の略ですか? 

JSTQBは「Japan Software Testing Qualifications Board(日本ソフトウェアテスト資格認定委員会)」の略です。ISTQB(国際ソフトウェアテスト資格認定委員会)の日本支部にあたり、国際的なソフトウェアテストの知識体系に基づいた資格試験を実施しています。 
 

JSTQBの資格にはどんなレベルがありますか?

JSTQBの資格は以下の3つのレベルに分類されます。

Foundation Level(FL):初学者〜実務1〜2年程度向けの基礎レベル

Advanced Level(AL):3年以上の実務経験者向けの応用・専門レベル

Expert Level(EL):高度な専門性やマネジメント能力を求められる上級レベル(日本では未実施)

 

JSTQBの試験は誰でも受けられますか?

はい、JSTQBのFoundation Level試験は受験資格が不要で、どなたでも受験可能です。ただし、Advanced LevelはFLの合格者のみが受験可能ですので、まずはFLに合格する必要があります。 
 

JSTQBの試験はどこで受けられますか?

JSTQBの試験は、全国のCBT(Computer Based Testing)会場で随時実施されています。JSTQB公式サイトから申し込みが可能で、日程や会場を選択して予約できます。 
 

JSTQBの試験はどんな形式ですか? 

試験は選択式(四択)で、Foundation Levelは40問出題され、26問以上の正解(65%)で合格となります。制限時間は60分です(非日本語母語者には15分延長あり)。 
 

JSTQBの合格証は有効期限がありますか? 

いいえ、JSTQBの資格には有効期限はありません。一度合格すれば、資格は永久に有効です。ただし、業界の変化に対応するため、継続的な学習は推奨されます。
 

ゲーム業界でJSTQBは役立ちますか?

はい、JSTQBの知識はゲームデバッグ・テスト業務においても非常に役立ちます。テスト設計、バグ管理、探索的テストなど、実践的な場面で活用可能です。特に品質管理を重視するゲーム開発企業では評価される傾向にあります。 
 

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