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2025.07.22

  • コラム

BPO戦略:オンサイトとオフサイトの最適解|業務効率化とコスト削減を両立

  1. BPOにおけるオンサイトとオフサイトの違いを徹底解説
  2. オンサイトBPOのメリット・デメリット:企業の視点から
  3. オフサイトBPOのメリット・デメリット:企業の視点から
  4. BPOのオンサイト/オフサイトを選ぶ際の重要なポイント
  5. BPO導入事例:オンサイトとオフサイトの成功例と失敗例
  6. BPO導入時の注意点とリスク管理:契約、KPI、コミュニケーション
  7. BPO導入後の効果測定と改善:継続的な最適化
  8. まとめ

BPOにおけるオンサイトとオフサイトの違いを徹底解説

オンサイトBPOとは

オンサイトBPOとは、委託先のベンダーが、依頼元の企業内、または近隣の場所に拠点を構え、業務を遂行する形態を指します。この形態の特徴は、依頼元企業との物理的な距離が近いことです。これにより、綿密なコミュニケーション迅速な意思決定、そして企業文化や業務プロセスへの深い理解が可能となります。適用業務としては、高度な専門知識が求められる業務、機密性の高い情報を取り扱う業務、そして変化への柔軟な対応が求められる業務が挙げられます。例えば、金融機関におけるリスク管理、医療機関における臨床研究、製造業における品質管理などが該当します。

 

オフサイトBPOとは

オフサイトBPOとは、委託先のベンダーが、依頼元の企業とは異なる場所(自社拠点、あるいは海外拠点など)で業務を遂行する形態を指します。この形態の最大の特徴は、コスト削減効果が高いことです。特に、海外の労働コストの低い地域に拠点を構えることで、大幅なコスト削減を実現できます。適用業務としては、大量のデータ処理、定型的な事務処理、カスタマーサポートなどが挙げられます。オフサイトBPOは、効率性とコスト削減を重視し、標準化されたプロセスに基づいて業務を遂行します。近年では、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)などの技術を活用することで、更なる効率化を図る動きも見られます。 

 

オンサイトとオフサイトの比較表

項目 オンサイトBPO オフサイトBPO 
コスト 高い 低い 
コミュニケーション密で直接的 疎で間接的 
セキュリティ 高い (依頼元企業のセキュリティポリシーに準拠しやすい) 低い (セキュリティ対策を委託先に依存) 
柔軟性 高い (状況変化への対応が容易) 低い (事前に定義された範囲内での対応) 
適用業務 高度な専門知識が必要な業務、 機密性の高い情報を取り扱う業務、変化への柔軟な対応が求められる業務 大量のデータ処理、定型的な事務処理、カスタマーサポート 

その他の

メリット 

企業文化への適応、ナレッジの共有、従業員のモチベーション向上 24時間対応、グローバルなリソースの活用、業務の標準化 

その他の

デメリット 

スペースの確保、委託先との文化的な摩擦、人材の確保 コミュニケーションの障壁、品質管理の難しさ、情報漏洩のリスク 

 

オンサイトBPOのメリット・デメリット:企業の視点から

メリット

オンサイトBPOの最大のメリットは、依頼元企業との密な連携が実現できる点です。顔を合わせてのコミュニケーションが容易であるため、ニュアンスや意図が伝わりやすく、認識の齟齬を最小限に抑えることができます。また、依頼元企業のセキュリティポリシーに準拠した形で業務を遂行できるため、情報漏洩のリスクを低減できます。さらに、状況変化への柔軟な対応が可能です。例えば、急な業務量の増加や、業務プロセスの変更などにも、迅速かつ適切に対応できます。これらのメリットは、特に、競争の激しい業界や、顧客のニーズが多様化している業界において、大きな競争力となります。 

 

デメリット

オンサイトBPOのデメリットは、オフサイトBPOと比較してコストが高くなる点です。委託先の従業員を自社内に配置するためのスペースの確保や、設備投資が必要となるため、追加コストが発生します。また、物理的な制約も考慮する必要があります。例えば、オフィススペースが限られている場合、十分な人員を配置できない可能性があります。さらに、専門的なスキルを持つ人材の確保も課題となります。特に、特定の業界に特化した知識や経験を持つ人材を確保することは容易ではありません。 

 

オフサイトBPOのメリット・デメリット:企業の視点から

メリット

オフサイトBPOの最大のメリットは、大幅なコスト削減を実現できる点です。人件費の低い海外に拠点を設けることで、人件費を大幅に削減できます。また、グローバルなリソースを活用できる点も魅力です。例えば、多言語対応が必要なカスタマーサポート業務を、現地の言語に堪能な人材に委託できます。さらに、24時間対応が可能なため、顧客満足度の向上にも貢献します。これらのメリットは、特に、価格競争の激しい業界や、グローバル展開を積極的に進めている企業にとって、大きなメリットとなります。 

 

デメリット

オフサイトBPOのデメリットは、コミュニケーションです。地理的な距離や言語の壁などにより、円滑なコミュニケーションが阻害される可能性があります。また、セキュリティリスクも考慮する必要があります。特に、個人情報や機密情報を取り扱う業務を委託する場合には、委託先のセキュリティ体制を十分に確認する必要があります。さらに、品質管理の難しさも課題となります。特に、文化や価値観の違いにより、期待する品質レベルを維持することが難しい場合があります。 

 

BPOのオンサイト/オフサイトを選ぶ際の重要なポイント

  1. POINT1

    コミュニケーションの質と頻度

    コミュニケーションの質と頻度は、BPOの成否を左右する重要な要素です。高度な専門知識や臨機応変な対応が必要な業務は、オンサイトBPOが適しています。一方、定型的な業務や大量のデータ処理は、オフサイトBPOでも十分に対応できます。

  1. POINT2

    セキュリティの要件

    セキュリティ要件は、BPOの形態を選択する上で最も重要な要素の一つです。個人情報や機密情報を取り扱う業務は、オンサイトBPOが適しています。一方、一般的な業務は、オフサイトBPOでも対応できます。

  1. POINT3

    コストの制約

    BPOのコストは、オンサイトとオフサイトで大きく異なります。オンサイトBPOは、人件費や設備費がかかるため、コストが高くなる傾向があります。オフサイトBPOは、人件費の安い海外を活用することで、コストを抑えることができます。

  1. POINT4

    業務の性質

    業務の性質も、BPOの形態を選択する上で重要な要素です。専門性の高い業務は、オンサイトBPOが適しています。専門的な知識やスキルを持つ人材を確保し、質の高いサービスを提供することができます。一方、反復性の高い業務は、オフサイトBPOでも効率的に対応できます。RPAなどの技術を活用することで、更なる効率化を図ることができます。

BPO導入事例:オンサイトとオフサイトの成功例と失敗例

オンサイトBPO成功事例

ある大手金融機関では、顧客からの問い合わせ対応業務をオンサイトBPOで委託しました。委託先の従業員は、金融機関内に常駐し、顧客からの電話やメールに対応しました。委託先の従業員は、金融商品に関する専門知識や、顧客対応スキルを習得するための研修を受けました。その結果、顧客満足度が向上し、金融機関のブランドイメージ向上に貢献しました。 

 

オンサイトBPO失敗事例

ある製造業では、品質管理業務をオンサイトBPOで委託しましたが、導入コストが予想以上に高くなり、費用対効果が見込めませんでした。委託先の従業員を自社内に配置するためのスペースの確保や、設備投資が必要となり、追加コストが発生しました。また、委託先との間で企業文化や価値観の違いが生じ、円滑なコミュニケーションを維持するための努力が必要となりました。 

 

オフサイトBPO成功事例

あるIT企業では、カスタマーサポート業務をオフサイトBPOで委託しました。委託先の従業員は、海外に拠点を構え、24時間体制で顧客からの問い合わせに対応しました。委託先の従業員は、多言語に対応できるため、グローバルな顧客に対応することができました。その結果、顧客満足度が向上し、コスト削減にも成功しました。 

 

オフサイトBPO失敗事例

ある小売業では、バックオフィス業務をオフサイトBPOで委託しましたが、品質問題が発生しました。委託先の従業員は、小売業の業務プロセスに関する知識が不足しており、ミスが多発しました。また、言語や文化の違いが影響し、コミュニケーションが円滑に進まず、問題の解決に時間がかかりました。 

 

BPO導入時の注意点とリスク管理:契約、KPI、コミュニケーション

委託先の選定

BPO導入の成否は、委託先の選定に大きく左右されます。委託先の選定にあたっては、実績、専門性、信頼性を総合的に判断する必要があります。実績のある委託先は、過去の成功事例を参考にすることができます。専門性の高い委託先は、高度な業務に対応することができます。信頼性の高い委託先は、情報セキュリティ対策を徹底し、情報漏洩のリスクを低減します。 

 

契約内容の確認

契約内容を事前に確認することは非常に重要です。SLA(サービス品質保証)は、委託業務の品質を保証するものであり、目標達成度やペナルティなどを明確に定める必要があります。責任範囲は、委託業務における責任の所在を明確にするものであり、トラブル発生時の対応などを定める必要があります。解除条件は、契約解除の条件を明確にするものであり、契約期間や違約金などを定める必要があります。 

 

KPIの設定

KPI(重要業績評価指標)を設定することで、業務の可視化と評価が可能になります。KPIは、業務の目標達成度を測るものであり、定期的にモニタリングする必要があります。KPIを設定することで、問題の早期発見と解決に貢献することができます。 

 

定期的なコミュニケーション

委託先との定期的なコミュニケーションは非常に重要です。定期的な会議や進捗報告を通じて、業務の進捗状況や問題点を共有する必要があります。定期的なコミュニケーションは、問題の早期発見と解決に貢献することができます。 

 

情報漏洩対策

情報漏洩対策は、BPO導入において最も重要な課題の一つです。セキュリティポリシーを策定し、委託先にも遵守させる必要があります。情報漏洩対策には、アクセス制限、暗号化、監査ログの記録などが含まれます。 

 

BPO導入後の効果測定と改善:継続的な最適化

定期的な効果測定

BPO導入後の効果測定は、KPIの分析と評価を通じて行います。KPIの達成度を定期的にモニタリングし、目標との乖離を把握します。KPIの分析結果に基づいて、業務プロセスや委託先のパフォーマンスを評価します。 

 

改善点の洗い出し

効果測定の結果に基づいて、改善点を洗い出します。問題点を特定し、その原因を分析します。問題点の原因を分析する際には、5W1H(Who, What, When, Where, Why, How)のフレームワークを活用すると効果的です。 

 

継続的な最適化

改善点の洗い出し結果に基づいて、継続的な最適化を行います。業務プロセスの見直しや改善、委託先との契約内容の見直しなどを行います。継続的な最適化を行うことで、BPOの効果を最大限に引き出すことができます。 

 

BPOのオンサイトとオフサイト、どちらが自社に適しているか分かりません。

コミュニケーションの重要度、セキュリティ要件、コスト、業務の性質などを総合的に判断し、貴社の状況に最適な形態を選ぶことが重要です。専門家にご相談いただくことも有効です。

オフサイトBPOで情報漏洩が心配です。対策はありますか? 

委託先のセキュリティ体制を事前に詳細に確認し、契約書に厳格な情報管理条項を盛り込むことが重要です。また、定期的な監査を実施することで、リスクを低減できます。

BPO導入後、期待した効果が得られない場合はどうすれば良いですか?

KPIを定期的にモニタリングし、目標との乖離を分析することが重要です。問題点を特定し、委託先と協力して改善策を実施することで、効果を改善することができます。

まとめ

BPOにおけるオンサイトとオフサイトは、それぞれ異なるメリットとデメリットを持っています。企業は、自社のニーズ、予算、セキュリティ要件、業務の性質などを総合的に考慮し、最適なBPO戦略を選択することが重要です。委託先の選定、契約内容の確認、KPIの設定、定期的なコミュニケーション、情報漏洩対策など、BPO導入時の注意点をしっかりと押さえ、継続的な効果測定と改善を行うことで、BPOの効果を最大限に引き出すことができます。 

 

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